カウンセリングとは何か(著: 東畑開人)

カウンセリングとは何か(著: 東畑開人)

自分自身がメンタル不調からの回復のためにカウンセリングを受けていた時期に、並行して読み進めた本。取り組みはじめた当初は、カウンセリングがどういった営みなのかよく分かっておらず、まさにその「醸し出す怪しさ」を感じていたことは否めない。

しかし、このカウンセリングの世界へのガイドブックを手にしながら、自分自身でその営みを体験した今、副題にもある「変化するということ」がその本質であることを身を持って理解できたと思う。カウンセラーさんとの対話を通して自分自身の心に働きかけ、抱えていた心の問題に対処できるようになること。病気から回復するというと、発症前の状態に戻すというイメージを持ちがちだが、そうではない。発症の根本にある問題を見つめ直し、それに対処する術を身につけること。認知のクセに気づき、世界の捉え方を変えていくこと。そうやって生き方を変化させていく営為なのだ。

「つながりが癒す」という言及に深く頷く。今回、自分の心に起こった問題は、転職先で「仲間」と呼べる人のつながりが構築できず孤軍奮闘状態を強いられたことがトリガーのひとつだった。カウンセラーさんとのセッションは、今現在の問題に対処するだけではなく、今後もし問題が再発してしまったとしても話を聞いて協力してくれる人がいる、というセーフティーネットを構築する時間でもある。そういう安心感が得られたことこそが、心のケアになっているとつくづく感じている。

「変化するということ」は「古い物語を終えること」。そこには「心理的な別れ」「喪失があり、孤独がある」。その痛みに持ちこたえ、新しい物語を始めるためには、カウンセラーさんの手助けが必要不可欠だったと思う。